「テスター」をはじめとしたロール名の言葉が持つ難しさ
- やまのうち ずん太郎
- 8月10日
- 読了時間: 3分
こんにちは。コサカです。
「テスター」という言葉の難しさについて語ります。
「テスター」
テスターという言葉は「Tester」なので、「テストをする人」や「テストをするもの」という意味です。
例えば電気工事の界隈では、電力測定の機械を「テスター」と呼んだりしますが、
ソフトウェア開発の文脈においては「テスター」という言葉は「テストをする人」と使われることがあります。
「プログラミングをする人」という意味で「プログラマー」という言葉が使われるのと同じように、
「テストをする人」という意味で「テスター」という言葉が使われることがあります。
「テスター」という言葉が持つニュアンス
ところが、「テスター」という言葉は「低スキル」の代名詞であることも多いです。
それには以下のような背景が複数絡み合っています
「テスト」という仕事がプログラミングスキルが十分でないジュニアの仕事である場合がある
「テスト」は後工程であり、プログラミングしていただかないとテスト実行できない
「テスト」には専門的な技能が必要な文脈があるが、「誰でもできるテスト実行の担い手」としての「テスター」というニュアンスがある
特に採用・人材派遣の文脈ではこれらの傾向が顕著であり、低単価・低給料の根拠となったりします。
「テスター」という言葉を拒否した人々
これらの傾向は、ソフトウェアテストの当事者の間でも問題意識として取り上げられました。
そのため、テストの専門家は「テストにはエンジニアの要素がある」「テストには専門性がある」という意図で、
「テストエンジニア」あるいは「テスト技術者」という言葉が使われるようになりました。
「QAエンジニア」
別の傾向として、「テスター」から「QAエンジニア」という名前を使う場合があります。
これにはグローバルからの輸入や、目的志向などの側面がありますが、
「テスター」という言葉に対する否定的なニュアンスで使われることも少なくありません。
また、時にテストエンジニアやテスト技術者という言葉すら否定的にする文脈で「QAエンジニア」という言葉を使うことがあります。
「QMファンネル」が意図せず産んだ歪み
テストや品質保証において、「QMファンネル」というものがありますが、これの存在は全く意図せず同じような歪みを生んでしまいました。
元々QMファンネルの意図は、品質保証における専門性と役割を整理して、組織に必要なものを識別しようという意図です。
しかしながら、「インプロセスQAよりQAコーチの方がハイスキルである」というような、意図しないロール名の上下関係として捉えられることもあります。
「テスター」という言葉で否定されることが悲しい
コサカという名前が象徴するように、私は「テスター」という言葉が好きですし、それが持つ否定的なニュアンスを意識せずについ使ってしまうことがあります。
しかしこれは文脈によっては「他者を否定している」と捉えられることがあります。
これは悲しいことですし、「テスター」と自認している私自身や、私が尊敬しているテスターまでも否定されているように思えてとても悲しい思いになります。
ただ、「テスター」という言葉を侮辱として捉えられることを否定したいわけではありません。
そういった考えに敬意を払いつつ、私は適応していきたいと思いました。
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